はたの君枝と日本共産党の「雇用・労働提言」(案)
はじめに
日本の労働者のおかれている状況は、同じ発達した資本主義国であるヨーロッパの国々
と比較してもあまりにもひどい劣悪な状況にあります。非正規雇用は働く人たちの 3 人に
1人にまで広がり、若い世代と女性では約半分が非正規雇用という実態です。こうした労
働者は年収200万円以下という低賃金と、いつ雇い止めにあうかわからないという不安
定な雇用にたえず脅かされています。最近、20代の若者のなかで自殺を考えたことがあ
るという人が28%にものぼるというショッキングな統計が発表されました。
一方、正規労働者は長時間超過密労働、成果主義賃金や職場でのパワハラなどで、身体
的な健康破壊とともに、メンタル・ヘルス問題が職種を問わず激増しています。さらにサ
ービス残業が横行し、有給休暇が思うように取れないどころか、休日出勤が常態化してい
るような職場もあります。くわえて、ここに来て大企業のリストラが広がってきており、
特に電機産業を中心に大規模なリストラが計画され始まっています。それは、派遣労働者
や期間労働者だけでなく正社員にも及んでいます。
神奈川県は、就業者数の87%が労働者という、まさに労働者の県です。大企業の研究
開発事業と生産現場が集中しているだけでなく、関連の中小企業も数多く存在しています。また東京に次ぐ第二の人口を有する県として、建設労働者や公務労働者も多数存在しています。
神奈川県の有効求人倍率は全国0.75に対し、0.52であり、失業率・失業者数は
4.2%・32万3千人もいます。なかでも若者の失業率は6.7%となっています。正
規・非正規雇用の割合では、非正規雇用が過去最高(昨年)を記録しています。
1万人の人員削減を打ち出しているNEC、リコー、ソニーなどを先頭に、大規模な「合
理化」計画を発表している電機産業が神奈川には集中しています。
中小企業の経営も悪化し、負債総額1千万円以上の企業倒産は年600から700件に
及んでいます。また、この間、神奈川の生活保護受給の世帯数は増加の一途をたどり、1
0万世帯を超え最高を更新しています。
こうした一方、県内大企業の多くは利益の蓄積を増加させており、神奈川労連がまとめ
た今年の国民春闘資料「ビクトリーマップ」によると、500人以上を雇用し、前年度と
比較可能な111社の内部留保は、1年間に8217億円も積み増し、総額で68兆18
70億円にもなっています。
労働者の雇用・労働条件がきわめて劣悪な状況に置かれている一方で、大企業は内部留
保をつみ増している、これが日本の実態ですが、日本共産党は「ルールある経済社会」を
実現すること、そのためには大企業に社会的責任をはたさせることが必要であることを主
張してきました。
そして第一に、雇用・労働の分野でヨーロッパ並みのルールを確立すること、人間的で
働きがいのある雇用の場を拡大し、安定した雇用と健康で文化的な生活が保障される「働
くルール」を確立することが必要です。第二に、国や自治体の税金の使い方も、大企業に
向けた法人税減税や大規模開発事業などでなく、もっと子育て、福祉、医療、防災などの
分野、生活密着型の公共投資に振り向けるべきであることを主張してきました。
これらを実現すれば、県民の雇用・労働条件の向上のみならず、それが家計をうるおし、内需を拡大し、日本経済のいまの深刻な不況を脱する道にもつながることになります。この道こそ、消費税増税に頼らなくても社会保障を充実させ、財政危機を打開する道です。
以上の立場から、日本共産党神奈川県委員会とはたの君枝は以下のような提言をおこな
うものです。