神奈川のリストラ反対運動の歴史とルネサスリストラ(1)
「新かながわ」6/8号〜6/22号に掲載された岡本一 氏(NPOかながわ総合政策研究センター・理事)執筆の記事、「神奈川のリストラ反対運動の歴史とルネサスリストラ」を今日から3回に渡って転載します。
神奈川県内では現在、大企業や国も関与したルネサスエレクトロニクス社での大リストラが大きな問題となっています。このルネサス社でのリストラの内容や神奈川での労働者のたたかいについて、ぜひお読み下さい。
ルネサスリストラとは何か
岡本 一(NPOかながわ総合政策研究センター)
川崎市中原区、相模原市中央区、横浜市神奈川区に事業所のあるルネサスグループは、2011年以来4回目となる大規模なリストラを現在強行しています。
ルネサスエレクトロニクスは、日本の半導体産業の復活をかけて、ルネサステクノロジ(03年4月、日立製作所と三菱電機の半導体事業統合)とNECエレクトロニクスが10年4月統合し設立されました。
統合時に1回目のリストラで希望退職を1200人目標で実施し、1487人が退職しました。
12年に2回目の早期退職を目標5700人に設定し、工場閉鎖・縮小、事業上解雇も有りうると脅かしたため、募集開始初日で目標をはるかに上回る7511人が応募し、人数が多すぎて退職金の特別加算金が分割払いとなったため退職撤回を申し出た人を認め、最終的には7446人が退職しました。
13年に3回目の早期退職としてルネサス本体で2000人、グループ全体で3千数百人規模を目標に、管理職6860人のうち約1300人を降格させ、何回も退職強要を行ないました。しかし半数の654人が残り、グループ全体で2316人が応募し、移籍や自然退職で約3000人退職しました。
そして今年1月、16年度までに営業利益率2ケタ%、固定費1900億円削減、人員削減5400人、県内3事業所を含む大規模な再編・事業所閉鎖で約6000人(川崎・多摩川2300人、相模原300人など)を武蔵・東京小平市、高崎・群馬、那珂・茨城へ配置転換させる計画を発表しました。その結果3月末には広域配転に応じられない労働者が、女性を中心に696人が退職に追い込まれました。
県民的なたたかいで反撃を
これらのリストラ攻撃に対し、電機・情報ユニオンや電機労働者懇談会の神奈川の人たちは、全国の仲間と連帯を拡げながら、神奈川労連、川崎・相模労連、新婦人や日本共産党などに働きかけ、3月30日にルネサスリストラ対策シンポジウムを開催し、5月17日にはルネサスリストラかながわ対策会議を立ち上げました。大規模な宣伝行動も行い、厚生労働省や神奈川労働局への申し入れなども行いたたかいに立ち上がっています。
ルネサスは合併当初、NEC、日立、三菱電機が3割前後ずつ株を持っていましたが、12年12月に官民ファンドの産業革新機構が出資し、役員も送り込み経営を支配するようになりました。13年12月には産業革新機構とトヨタ、キヤノンなどの主要ユーザー8社が計1500億円の増資を行っています。
今回の事業所閉鎖は統合時に日立所有の土地建物はルネサスに譲渡されましたが、NEC所有の土地建物は貸与であったため、経費削減のために日立由来の事業所に集約すると説明されています。したがってルネサスリストラに反対する神奈川のたたかいは、ルネサス、産業革新機構、NECなどを相手にした、たたかいです。(以下、続く)