A. 実際には賃上げや株主配当には使っている
実際にパナソニックやソニーでは内部留保を使って200億円を超える株主配当をおこなっています。内部留保の一部を働く人の賃上げなどに活用すべきという主張は、民間のシンクタンクのエコノミストやから始まり、昨年からは政府や経済界からも言われるようになり、今や共通認識となっています。実際にローソンでは内部留保を使って正社員の一時金の賃上げが実現しました。
内部留保とは企業がさまざまな名目で年々の利益をため込んだものです。資本金10億円以上の大企業の内部留保は、この10年間で100兆円も積み増しされ、272兆円にも達しています。一方で、民間企業労働者の年間平均賃金は、2012年度では約408万円で、約70万円も減っています。
大企業は法人税の引き下げや、定期給与の抑制や非正規雇用化など労働者に犠牲を強いることで、内部留保を増やしてきました。内部留保のごく一部をふり向けるだけで、賃上げや労働時間の短縮、雇用創出など、労働条件をただし、向上させることができます。
たとえば、大企業の内部留保270兆円の1%を活用するだけで月1万円の賃上げや、非正規社員の時給引き上げができます。内部留保の活用について安倍総理も経済界にお願いさせていただきたいと答弁しています。強烈に企業側に賃上げ実行を迫ってほしいものです。
(上:内部留保500億円以上の大企業の賃上げ可能性)
■「働くみなさんへのアピール 賃上げと安定した雇用の拡大で暮らしと経済を立て直そうより
http://www.jcp.or.jp/web_download/bira/2013_2/pdf_4/1302-workap.pdf
(上:神奈川県内に事業所のある主要企業の内部留保)
※かながわ産業労働調査センター「2014年版 国民春闘・神奈川版資料(ビクトリーマップ・企業の社会的責任)」より
A.換金可能な資産も多く、その一部分の活用で賃上げはできる
大企業は内部留保を取り崩すことは難しい、内部留保は設備投資に回っているし、現金では保有していないという主張があります。しかし実際には設備投資よりも、投機を含む有価証券などの金融資産への投資に多くの金額が回されているのが実態です。
さらに、内部留保の中には、現金・預金、有価証券など、換金可能な資産も含まれており、財務省の法人企業統計によれば、資本金1000万円以上の日本企業で1999年度176兆円だったのが、2009年度には209兆円にもなっています。
これらの換金性資産を活用すれば、賃金はもちろん、雇用の拡大も可能です。
(上:大企業の内部留保と資産構成の推移)
大企業が内部留保を積み上げているなかで、主な資産は有価証券や現金預金といった換金可能な資産が増えており、その一部を活用するだけで賃上げは可能です。
■「働くみなさんへのアピール 賃上げと安定した雇用の拡大で 暮らしと経済を立て直そう」より
http://www.jcp.or.jp/web_download/bira/2013_2/pdf_4/1302-workap.pdf